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過去の自分を否定したがる症候群について

僕は他人を否定することが苦手です。でも、不平不満を無理に抑えているわけではありません。他人様を否定できるほどの自信を持っていないからです。大きなエネルギーが必要な作業なんですよ。

そんな自分にとって、最も否定したくなるのは過去の自分です。

ひとことで言えば、過去の自分を否定することで、現在の自分との変化幅を見出し自己肯定するというリクツです。 「あぁ、あの頃と比べて自分は変われたんだなあ。」と認識することで成長を確認するわけですね。

その際に「過去の自分」像を都合よく歪めてしまうことが多いけれども、なかなかそれを自認することが難しい。

これを「過去の自分を否定したがる」症候群と呼んでいます(そのまんまじゃん!)。 まさに自分のことなのですが、自戒を込めてメモしておきます。

症状

僕のような人は、過去の自分と比べることで、自分がどれほど変化できたか実感しようと日々試みます。

↓イメージはこれに近いかも。

人と自分を比較していたら、比較する相手によって左右されてしまいます。
過去の自分との比較なら、自分の努力しだいで、進歩向上を確実に感じられるでしょう。
「1年前の自分と比べたら、少しは幸せに(暮らせるように)なれた」
このように思える人は幸せでしょう。幸せに暮らす心がけを1年間続ければ、このように思うことは可能なのではないでしょうか
そうすれば、「同じように努力すれば、これからも少しずつ幸せになっていける」とも思えるでしょう。
多湖輝 http://meigen.shiawasehp.net/t/a-tago02.html

かと言って、過去の自分をやたら卑下してしまっては、この比較は意味のないものになってしまいます。
根拠なく「あの頃に比べて俺は変わったんだ!」という自己慢心に陥ってしまわないよう気をつけなければなりません。

例を挙げてみます。

例:「大学時代の俺ってほんとダメだったわ〜。行動力なかったし。(それと比べていまの自分は変わった!)」

  • 過去の自分の欠陥を指摘できるのは、それだけ見識が深まったからと言える
  • 他人と自分を比較するより、差分の少ない自分同士を比べるほうが容易
  • 自分が相手ならどう文句を言おうと反論の心配はなく、ノーリスク
  • 過去の振る舞いを反省する謙虚な自分を演出できる
  • こういうことを考えられてる俺すごくね?

この例では、過去の自分を否定することで現在の自分を「変わった」と認識し、自己肯定を試みています。「変わった」という事実が、心の拠り所になるわけです。

言ってみれば、過去の自分は踏み台なんですね。

でも、本当に変わったのでしょうか? 思い描く「過去の自分」像は、本当に正しいのでしょうか?

歪む「過去の自分」像

記憶というものは思ったよりも曖昧で、時に都合よく過去を解釈してしまうのだと思います。 象徴的な出来事がありました。

先日、住んでいたアパートを撤去すべく片付けに追われていたときの話。ノスタルジーに浸りつつ高校時代の懐かしい写真・卒アルをふと眺めていますと、あの頃の思い出が蘇ってきました。

その瞬間、当時の振る舞いや行動、友達とのやり取りがフラッシュバックし、記憶が矯正されたのです。

もちろん、「過去の自分」像を100%純度で蘇らせることはできません。それでも、幾分かは補正が効くようです。

普段思い描いていた「過去の自分」像をいかに都合よく解釈していたか思い知ることになりました。

もしかしたら、自分はあの頃と大差ないのかもしれない。
まるで挑戦状を叩きつけられたような気分です。ぐぬぬ…。

(まあでも、この「気づき」が自分を今後どのように変化させてくれるのか興味を持ち、結局は楽しい気分になっちゃいましたが)

この症状から抜け出すためには:処方箋

さて、この病の厄介なところは、症状を自認することの難しさだと思います。さらに、自認した上で過去を都合よく解釈していないか省みる機会がなかなか得られないことです。
先の例では、過去の思い出をふり返ることで記憶を矯正し、正しい「過去の自分」像を得るための道標としましたが、同様にまずは過去を正しくふり返るために工夫が必要でしょう。

ざっとこんな感じでしょうか?

  • 過去の自分像を探る(比較対象の明確化)
    • 過去の自分を卑下していないか?と内省
    • 記憶を「正しく」ふり返る
      • 行動記録(ライフログ
      • 写真,日記,カレンダー,手帳など
    • かつての旧友と話してみる
  • 自分がどのように変化したのかを自ら問う(「変化」の具体化)
    • そもそも本当に変化したのか?
    • どの点で変化したのか?
    • 変化したきっかけは何か?
  • 未来の自分に向けた準備(プランニング)
    • 現在の自分は、やがて過去の自分になる
    • 正しく記憶を取り戻せるような工夫をする
    • 過去→現在で何が変化したかを見通すことで現在→未来に活かす
      • 「来し方を顧みて行く末を案ずる」
    • 同じような変化は起こりうるか?
    • 変化を起こしやすくするためには?
      • ただし将来起こる変化で自分がどのように変わるかは決して見通せない

つらつらとここまで書きましたが、これまでの積み重ねはどんなものだったか、あるいは過去の自分はどんなもんだったかと考えるものの、 何が変化したのかは分からずにいます。
ただ、安易に過去を否定せず、「過去の自分」像は正しいか、そして現在の自分はそれに比べてどのように違うかを冷静に検討しようと思うきっかけになりました。

過去の自分を過度に否定せず、自己慢心に陥らないよう注意していきたいと思います。

参考にさせて頂きました。:
http://d.hatena.ne.jp/Erlkonig/20090131/1233402724